No.4 Big Sean & Jhene Aiko "Push It"

ひたすらにドリーミーに紡いで行く。Jheneさんも甘く誘惑するし、Seanも甘くラップする。
非常にポップスとして出来がいいんだけど、今後どうBig Seanが展開して行くのかっていうのが、ちょっと気がかりではある。
もちろん持って産まれたセンスによってキャッチーさを追求できるんだけど、それだけじゃなくて彼にはテクニックもあるしリリシズムもある。それを違和感無く一枚のアルバムに共存させられるのが彼の素晴らしさであり、アイデンティティであり、持ち味である。
Finally Famousはカラフルでポップよりの名盤。セカンドはちょっと退屈ではあったが、硬軟半々ぐらい。その間のミックステープDetoritはハード寄りのこれまた名盤。そしてサードDark Sky Paradiseもハードで勝負した傑作。
一応バランスはとっていると思う。本人も両立を続けて行くつもりだと思うんだけど。
問題は、それを会社が許すかっていうその一点なんですよ。
業界の同業者は間違いなくBig Seanのハードな一面も高く評価している。ラッパーたちは当然彼を認めているんだけど。
意固地でめんどくさいUSラップファンの方々は、多分いけ好かない野郎としか思ってないんじゃないか。
しかも見た目も相まって、Big Seanは女の子人気がめっちゃある。キャッチーでカラフルな作風は、確かに向こうのJKたちにも人気が出そうだ。
今回のJhene Aikoさんとのコラボアルバムは、そういった層に目配せをしたアルバムである。狙い撃ち。
Seanはこれでいったんアリバイ工作は完了して、そのまま従来のハード路線へと戻る算段であろう。
しかしレーベルがどう判断するか。お前の支持層はギャルが多いんだからギャル受けを中心に据えるべきじゃないのかとか、そういったクソみたいな展開も当然考えられる。
まだBig SeanってGOODにいるんだっけか。まぁ流石にKanyeがそんなトチ狂うとも思えませんが。
でも何があるかわからんからね。こればかりは。
KanyeはBig Seanのことを確かBeyonceと比較して賞賛したんだよな。前もこのブログに書いたと思いますが、こうマスとコアの間を繋ぐというか、両方にスムースにアプローチする存在として期待しての言葉だったと思う。
まぁ今となっちゃあBeyonceなんてアレやけど。
とにかくBig Seanには継続して頂いて。