No.18 "Done It Again" Ghostface Killah ft. Big Daddy Kane, Cappadonna, Styliztik Jones & Harley


Ghostface Killah - Done It Again feat. Big Daddy Kane, Cappadonna, Styliztik Jones & Harley
もはや十八番としか言いようがない曲ですね。GFK節すぎて、なんか聴いたことがあるとか似てる曲があるとかいう次元を超えて、前も全く同じ曲リリースしてない?とか思っちゃうレベルの馴染みっぷり。ライムパターンというか、フロウのバリエーションとか韻のタイミングとかも全く目新しいものではなく、ぶっちゃけ創造性はないです。焼き直し。でも好き。
彼のこのやり方の特徴としては、手を加えたり加工したりする前の段階のトラック、rawな状態を使用するのがポイントなんだと思います。普通ソウルフルなトラックを用意する場合には、まずいい感じのオールディーズソウルを選択して、そこから元曲のボーカルを消したり、回転を早めたり遅めたりしつつ、ちょっとビートを加えたりスクラッチを混ぜたりしながら、よくあるヒップホップのトラックへと加工していくと思うんですけど、GFKの場合にはほとんど元曲に手を加えずにもうそのままラップを乗せちゃう感じですよね。あまりにも元曲が好きすぎるので変に手を加えたりせず、好きな曲の上にそのままラップしちゃうっていう。その結果、元曲のボーカルが残ってたりするのでデュエットみたいな変な形になるし、ドラムもノータッチなのでリズム的にはヒップホップのものとは違う印象になるかもしれないんですが。それでもしっかりきっちりとヒップホップとして成立させうるのは、やはりGFKのマイク捌きと言いますか、主役の濃さと強さにあると思いますね。
美味しすぎるんだよな彼は。そりゃ彼のセンスのおかげで成り立っているんですけど、ガチってもいいし、ふざけてもいいし、歌ってもいいし、何しても許される。何しても「君らしいね」と褒めてもらえる。美味しすぎるわ。
普段と違うことをやろうとすると「そんなのは求めていない」ってファンから怒られるアーティストって世の中たくさんいるのよ。自分のアイデンティティや持ち味に葛藤して揺れ動く音楽家が大半であるこの世の中で。
こんなにもクリエイティブコントロールを任されて自由を謳歌できるんだから、ほんと幸せ者ですよ彼。