No.4 "With You" Mariah Carey


Mariah Carey - With You
歌詞をよく聴くと結構パーソナルな内容みたいですけど、あまり深く考えすにメロディの美しさと切なさに身を委ねてみて、日本だったら卒業式に流してもいいんじゃないっていうぐらいの情緒がある。
いっときからよく見られるポップスの旨味を利用したソウル。近いのはBrandyの名曲"Long Distance"でしょうか。
この手の曲で大事になってくるのは、テーマもメロディもけっこう重いので、それだったらなるべく歌唱はあっさり目にしましょうっていうことである。
そこまでコッテリしちゃうとトゥーマッチになってしまいますから。
例えばビヨンセメアリー・J・ブライジとかアリシア・キーズがこの曲を歌ってたら、なんかめんどくせぇなぁっていう気持ちになってたと思う。
マライアが上手かったのは熱唱にせず、さらっと流れるように歌ったこと。その上で魂をしっかり込めている。上っ面の歌唱ではなく、想いを込めて涼しく歌い上げる。文字にすると訳わかんないけど、実現しているのは確かだ。
逆にクリスティーナ・アギレラとかアリアナ・グランデがこの曲を歌っても、多分軽くてつまらなかったと思う。何も感じない、普通の曲になっていただろう。やっぱりマライアが上手いんだよ。
本人は嫌なんだろうけど、このブラックミュージックに対する感性と、ポップミュージックへの理解を両立できたのは、やっぱり彼女の生い立ちゆえと思うよ。この生い立ちは幼少期の彼女を苦しめたという話はよく聞くけど、アーティスティックな観点で言えば唯一無二の音楽性へと繋がっていったのだから、やっぱり意味のないことなどないって思うね。
ソウルミュージックの立場からポップスのアプローチを取り入れるのも得意だし、逆にポップスにソウルミュージックの魂を込めて作り上げることもできるっていうのは、やはりマライア・キャリーならでは。
なんJで「アメリカ版風間ゆみ」とかいう笑える蔑称を付けられたりと見た目はどんどん激しくなっていきますが、変わらず音楽界の中での有り難みとその輝きは尽きぬものがありますので。
変わらず元気で長生きして、たくさん創造し続けて欲しいと思います。
クスリとか手出さないでよ。頼むから。

Brandy - Long Distance *With Lyrics*