aiko 『どうしたって伝えられないから』

冒頭の"ばいばーーい"の歌詞が強すぎて笑うしかない。流麗なオーケストラに包まれながら恨み節を叫ぶ45歳女性の恐ろしさからアルバムはスタート。前作から3年ぶり。
前作『湿った夏の始まり』は意欲的な感じがあって面白かったんだよね。今までで一番ゴージャスな装いのトラックスで、演奏の素晴らしさが過去イチに光る一方、歌詞が陳腐で乗せ方が嫌に引っかかるような感じもあって、進化途中というところだった。
先の"ばいばーーい"の1番はかなり強烈で度肝抜かれますが、2番はいくらか抽象的で丁度いいバランスに落ち着いていて、いい感じだ。これはいいアルバムになる予感がある。
2曲目は"メロンソーダ"。めちゃめちゃええやん。四千頭身の石橋も好きって言ってた"くちびる"の系譜。素敵。ワクワクする。最高すぎて思わず口元が綻びますが、この曲は元々FM802TSUTAYAの共同企画のためにaikoが2019年に書き下ろした曲で、たくさんの人で披露した曲のセルフカバーだということで、そんなことも知らんヤツが偉そうに語るんじゃないよとダイハードaikoファンに殺されそう。ごめんなさい。
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上白石姉妹は百パー妹の方が可愛いし歌も素敵なのにね。
↓のAメロ好き。
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話を戻します。
アルバム全体すごくフレッシュで突き抜けている。ピアノが軸となるアレンジは軽快で情緒豊か。デビュー23年目、マンネリとは無縁のアグレッシブでエッジーでかつ王道キャッチーな、素晴らしいプロダクション。
シングルの"ハニーメモリー"や"青空"も有機的に流れを産んでいて無理なくアルバムに溶け込んでいるのが完成度高い。
夢の中のまっすぐな道』とか『泡のような愛だった』みたいな粒の大きさはないけど、より滑らかで心地良く奏でられていくそのスムースさは『暁のラブレター』に匹敵すると言っちゃっていいんじゃないですかね。
フラゲして1周しかしてませんが、とりあえずそんなところでしょう。
あらためてオススメします。みんなもっとaiko聴こう。